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第4の産業革命の先導者として
真に安心で安全な社会の実現を目指して






株式会社ユニモ    

取締役会長 藤 原 洋


 1609年のガリレオ・ガリレイによる人類初の天体望遠鏡による天体観測は、人類の歴史を大きく変えた出来事でした。人類は、ガリレオ以前は、地球の周りを天が回っていると信じてきました。それは、当時世界で最も権威を誇っていたローマ・カトリック教会の教義としての天動説が正しいとされていたからです。ガリレオから始まった近代科学は、思考法そのものに大きな変革をもたらしました。それは、客観的事実を元に物事を判断するという帰納法的思考法です。この科学的アプローチは、人類の宇宙観だけでなく、後にニュートン力学の誕生、そして、分子・原子・原子核・素粒子というミクロ世界の謎を解明し物質科学へと発展しました。また、ミクロ世界の解明は、さらなる生命科学の発展を促しました。
 この一連の近代科学の発展により、ニュートン力学が生まれた国イギリスにおいて、18~19世紀に第1の産業革命である動力革命が起こりました。このことから、人類は、人手では到底不可能だった、繊維、製鉄等の自動化による大量生産を可能とし、重い物をしかも遠くへ運ぶ手段を手に入れました。次に物質科学の誕生の地となったドイツでは、19世紀後半から20世紀前半に自動車や化学などの第2の産業革命である重化学工業革命が起こりました。この重化学工業革命は、特にアメリカでさらなる発展をし、この革命により、T型フォードに代表される製造業の基本となる量産技術が確立されました。さらにアメリカでは、コンピュータとトランジスタに代表される半導体の発明、さらにはインターネットの発明が相乗的に作用し、20世紀後半に第3の産業革命であるデジタル情報革命が起こりました。
 以上の過去に起こった産業革命の原動力は、明らかに、これまで誰も気づかなかった自然現象の真理を探究する科学における発見と、新たに認識された自然法則を応用して人間社会をより便利により安全により豊かにする新技術の発明という好奇心に満ちた科学者、技術者による発見・発明によるものでした。しかし、それだけではなく、科学者・技術者による発見・発明の成果を産業化しようとする企業家の存在があってからこそ産業革命が起こってきたことが歴史的事実です。私は、この一連の人間ドラマを『科学技術と企業家の精神』(2009年4月岩波書店刊)に著しました。ここでも述べていますが、この欧米を中心に起こってきた産業革命の歴史の中で、日本という国家は、重要な役割を果たしてきました。それは、徳川幕府時代の鎖国政策から目覚め、一気に近代化を進めてきた過程の中での「改良技術による産業革命の促進」という役割です。この結果、日本の高品質で信頼性の高い工業製品が世界市場を席巻し、21世紀初頭までに、世界第2位の経済大国へと発展してきました。
 21世紀に入り10年が経過し、世界第2の経済大国は、日本から中国へと移りました。このことは、時代の転換期を迎えているという極めて重要なことを示唆しています。その最大のポイントは、「改良技術による産業革命の促進」という過去の日本が果たしてきた役割が終焉したことであり、世界における経済活動の構図が根本的に変化していることを意味しています。また、言い換えれば、戦後右肩上がりで成長してきた日本経済は、1995年を境に成熟経済へとシフトし、過去の成長モデルが通用しなくなったということでもあります。今日の日本経済が抱える問題点を要約すると以下の4点に集約することができます。
  ① 輸出依存型経済の終焉(地方の工場による工業製品の輸出経済の行き詰まり)
  ② エネルギー自給率の低さ(原子力再利用込みで18%、実質4%)
  ③ 食料自給率の低さ(40%という先進国での圧倒的低位)
  ④ 首都圏への一極集中(人口1/3、経済1/2)
これら4つの問題を解決して新たな経済発展モデルを構築することこそが、私たちの次世代に希望に満ちた安心で安全な社会を創れる道であると思います。このことについては、『第4の産業革命』(2010年7月朝日新聞出版刊)に著しましたが、日本が改良技術ではなく、自らが発見・発明の役割を担い、世界における第4の産業革命である、環境エネルギー革命の発祥の地になるということに尽きると考えます。当社、株式会社ユニモは、このような経営ビジョンの下、以下の企業理念を掲げて企業活動に取り組んでいます。


  ① 日本発世界初の独自技術の確立
  ② 産学連携の推進

具体的には、以下に示す活動コンセプトで事業展開を行っています。


  ① 地球から宇宙を観る
  ② 宇宙から地球を見る
  ③ これらを元に地球をデザインする

以上の経営ビジョン、企業理念、活動コンセプトに基づく具体的な事業展開を以下に示します。


  ① 電気移動体事業(内燃機関エンジン車の改造/超小型モビリティ/高性能電気自動車等)

 第1の事業については、内燃機関エンジン車の改造車開発実績のある人材の登用、地域の足としての電気移動体ならではの特徴を活かした超小型モビリティの開発、慶應義塾大学の清水浩教授の30年以上の研究成果の産業化を目指すSIM-Drive社の設立に参画しインホイールモーター技術の確立による高性能電気自動車の開発に取り組んでいます。

 最後に2011年3月11日を境に日本および世界の進むべき道は大きく変化しました。1150年ぶりの巨大地震が日本を襲いました。以下の概略データを見てもそのエネルギーの巨大さがわかります。環境エネルギー革命は、時代の要請であると共に真の安心で安全な社会を実現するための重要な要素であることが明らかになりました。
●今回は、マグニチュード規模としても大災害をもたらす規模です。


  チリ地震(1960年) Mw9.5 (モーメントマグニチュード)
  スマトラ島沖地震 (2004年) Mw9.1〜9.3(推定)
  アラスカ地震(1964年) Mw9.2
  東北地方太平洋沖地震(2011年) Mw9.1(M9.0)
  関東大震災(1923年) M7.9
  四川大地震(2008年) Mw7.9
  兵庫県南部地震 (1995年) M7.3
  *恐竜絶滅の原因小惑星の地球衝突時 M11
  *地球が太陽から受ける総エネルギー1日分 M11.5

 これから日本が歩むべき道は最先端の科学技術創造立国です。更なる科学技術に関する正確で深い知見を持つことこそが、安心で安全な社会を実現するために不可欠です。私は最先端の科学技術を人類に提供し続けられる国が繁栄すると思っています。今日本は科学技術創造立国への転換点を迎えています。私たちユニモが取り組んでいるテーマこそが時代的要請であると確信し、日夜、当分野の先端技術の確立に向けて尽力する所存であります。